
油絵を始めたばかりだけど、どんな技法があるのだろう



色々技法があって、お勧めが分からない
そんな疑問に答えます。
この記事では、安心して使えるおすすめの油彩技法を紹介します。
その前に、油絵の基本概念をおさらいしましょう。
油絵の基礎知識
まず油絵を始める上で押さえるべき基礎知識があります。それは、
油絵は明るい色を描き起こしていく事により表現する
という点です。
鉛筆デッサンや水彩画では、画用紙の何も描いていない白い部分が一番明るい場所として表現されます。
それに対して、油絵はどんどん明度の高い絵の具を上に重ねて明るい所を表現していきます。
だから油彩画ではホワイトをよく使います。
シルバーホワイトが混色にも使えて重厚感があり、油絵ならではの表現が出来ておすすめです。盛り上げて、マチェールを表現する事も出来ます。マチェールとは立体感や質感の事です。
油絵は平面芸術でありながら立体表現の面白さも併せ持つ優れた絵画表現です。
よく使うので、最低でも20号のチューブを備えておきましょう。すぐ無くなります。アマゾンは画材屋さんに比べて安くは無いですが、送料が無料で購入しやすさを考えるとそれなりにおすすめです。
絵画技法を学ぶ
以下の二つの絵画を見てください。




最古の壁画と、有名な画家ラファエロの壁画です。どちらが魅力的ですか?もちろん後者でしょう。
効果的な絵画表現をする為に、絵画技法は存在します。
あなたも絵画技法を身に着けて、魅力的な絵画を制作しましょう。
油絵初心者おすすめの油絵技法
ここでは、油絵人物画を描く上で、初心者におすすめの技法を紹介します。
二種類紹介しますが、どちらが良いかは完全に好みになります。
私の場合は気分によって使い分けています。
グレージング技法
一つ目のおすすめ技法は“グレージング技法”です。個人的には一番おすすめです。簡単に美しい表現を実現できます。
以下の絵がグレージングを用いた私の作品です。


インプリマトゥーラを施した画面で、最初に輪郭線と陰影を茶褐色系で描き、明るい部分にホワイト系を置きます。その上から茶褐色系の絵具を薄く溶いたものを画面全体にかけ(グレージング)、また明るい部分を描き起こしていきます。これを繰り返します。
グレージング技法とは
茶褐色系の絵の具をたっぷりのオイルで薄め、その薄めたものを人物画全体に施して薄いフィルムのような効果を画面に与える技法。グレージングによって画面全体のトーンを落とした後、明るい色で描き起こしていく。何度かその工程を繰り返し、絵に深みと透明感を与えていく。
難易度は低く、時間も乾きやすいので比較的短時間でおさめる事が可能。ただ、グレージングで絵の調子が落ちるので、せっかく描いた線が失われ、二度手間と感じる場合もある。ホワイト系の絵具を大量に使うので、分厚い表現も可能。
グレージング工程で乾性油を使いすぎると、上に乗せる絵の具がはじかれるので注意。
グレージング技法の評価グラフ
有名な画家でいうと、レンブラントがよく用た技法になります。彼の絵を見ると明るく描き起こした部分が画面から迫ってくるのが分かるでしょう。
一番手軽でおすすめです。
グリザイユ技法
次に紹介するのは、個人的に好きなグリザイユ技法です。
手順に沿って描くだけなので、描くことに集中できます。
以下の絵は、グリザイユ技法でモノトーンの表現をしている段階です。


最終的にモノトーンの上から彩色して、以下のようになります。


グリザイユ技法とは
下描きのあと、一層目二層目を油絵の具のモノトーンで描き、乾いたらその上から彩色していく技法。難易度は普通。モノトーンが上手くいけば、比較的崩れることなく彩色工程まで制作する事が出来る。モノトーンの段階と彩色工程が分かれているので手間は少しかかるイメージ。また、各工程ごとに良く乾かす必要がある為、制作所要時間は長め。
彩色工程で油を多く使うので、透明度は高くなる。
下地や支持体にもよるが、何層にも油絵の具を重ねるので堅牢度は高い。
グリザイユ技法の評価グラフ
じっくり描き込みたいという方にもおすすめの技法。
ただ、直感を生かした感覚的な描き方をしたい人には向いていません。
グリザイユ技法を使った制作過程については以下の記事をどうぞ👇


【その他】人物画におすすめの技法
上の二つの技法より少し技術が必要ですが、人物画におすすめの技法を紹介します。
アラ・プリマ技法
色彩感覚に優れている方には“アラ・プリマ技法”がおすすめです。
スピーディーに一気に書き上げる事が出来ます。
モデルを観察して、見えたままの色や、直感で感じた色をどんどん置いていきましょう。
絵の具が乾くのを待たずに、どんどん乗せていく事が出来ます。グレージング技法やグリザイユ技法と違って、色をキャンバス上で混ぜ合わせることもあります。
この技法のコツは、悩むより一気に進めていく事です。
以下が参考作品になります。


アラ・プリマ技法の評価グラフ
仕上がった作品は少し表面的な表現になり、透明感や深みの点では、グリザイユ技法やグレージング技法に劣ります。
しかし、その時の感性や勢いを削ぐことなく、独創的な作品を表現することができます。
今回の記事はここまでとなります。最後までお読みいただきありがとうございました。
以下の記事では、アラ・プリマ技法についての解説をしております。




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