お絵描き父さんのブログ絵画教室へようこそ。ご訪問いただき誠にありがとうございます。
今回は、「直感を生かした作画工程」シリーズ前偏。下描き~着彩工程の下層描きまでを紹介します。
2012年の私の作品を例に解説を進めます。
今回使用した支持体であるパネルにについても少し触れておきます。
油絵の支持体
今回紹介する絵の支持体はパネルです。ジェッソとモデリングペーストを混ぜ合わせて、何層かパネルに塗って作成しています。ジェッソにモデリングペーストを混ぜることにより、下描き段階での鉛筆の食いつきを良くしています。
支持体は人それぞれ好みがあります。詳しくはこちらの記事で紹介していますのでご覧になって下さい。
今回はパネルにジェッソという半吸収性下地を使用しています。個人的に半吸収性が一番おすすめです。絵の具が程よく吸収されて描きやすいです。
油絵人物画の制作過程 下描き~着彩下層描きへ
ではさっそく制作過程の解説に入ります。あまり最初から固くなり過ぎず描きたい人物をラフに表現していきましょう!
トレースなどを使っての制作は終始固くなり楽しくないのでおすすめしません。
下描き
パネルに直接鉛筆でスケッチしていきます。本当はこの段階から油絵の具で軽くタッチを入れる下描きがおすすめですが、慣れないうちは鉛筆でも構いません。ただ濃く描きすぎないように注意して下さい。鉛筆が画面に食いつきすぎて消しゴムで消せなくなります。
今回の下描きは漫画のテクニックをお借りしています。輪郭、目、鼻、の位置に「あたりの線」を入れていきます
体もざっくりと描いていき、次に当たりの線を入れた部分に目や鼻を描き込みます。全て大雑把に、勢いを殺さないように描きましょう。
ある程度、顔の形が定まりました。あくまで下描きなので、デッサンのように描き込まないようにしましょう。描き込んでも上から油絵の具が乗っかるので消えるだけです。
更に進めます。
私の妹が2歳ぐらいの時の写真で、どこを見ているのか、少し真剣な顔をしています。
この絵では、写真を参考にしていますが、実物を見ながら描いたほうが絵に生命が宿って迫力が出るでしょう。
ひとまずこの辺りで下描きを終了しましょう。次は油絵による工程です。
※デッサンなどで使う鉛筆はuniもしくはHi-uni をお勧めします。
油絵初期「おつゆ描き」
油彩工程の最初は、おつゆ描きを進めます。
おつゆ描きとは揮発製油を多めにし絵の具を薄く溶き、油がたれるぐらいの量を筆に含ませて描く方法です。
水彩で描いたようになります。
今回は変則的に各パーツに軽く色を置いてますが、大抵の場合は茶褐色系の絵具で陰影や輪郭を捉えるのみにとどめます。
堅実に、グリザイユ技法やカマイユ技法に進む場合は、画面全体に茶褐色系でインプリマトゥーラ(有色下地)を薄く施し、そこから茶系の絵の具を薄く溶いて陰影や輪郭を起こして行くと良いでしょう。
おつゆ描きは、下描きの形を起こしていく「油彩工程の下描き」の位置づけです。揮発性油で薄くといてますので、失敗しても、簡単に布で拭き取ることが可能です。
慣れてくると、木炭での下描きや、スケッチの転写の段階を省き、このおつゆ描きから始める場合もあります。
モノトーンによる下層描き~原色を直感的においていく彩色工程
次に軽くグリザイユの段階に入ります。まず少しパレットを見てもらいましょう。
モノトーンを、黒とホワイトの絵具であらかじめ作っておきます。※少し、黒を柔らかくするためにアンバー系の絵具を足しています。
それを用いて、モノクロで描いていきます。陰影をしっかり捕らえることを意識しましょう。
今回は、グリザイユっぽくといった感じで、完全にグリザイユでは攻めませんでした。軽く、モノトーンを入れるような感じになっています。固い絵になるのを避ける狙いがありました。
モノクロの段階は軽めで切り上げます👇
この辺りで軽めにモノトーンの段階を切り上げましょう。
次に色を乗せていきます。
今回のこの絵ですが、当時は印象派っぽく人物を描いてみたいなぁと、なんとなく思って、実験的に原色をそのまま置いてみました。直観的な描き方を進めています。
思いつく色を次々と感覚的に置きました。何も考えず感覚に任せます。
「色を置いたら⇒乾いた筆でなじませる」という方法で、肌を表現していきます。全体を大きく馴染ませる時は、扇形の筆(ファン)を使います。細かい部分は小さいサイズの筆でなじませていきます。
豚毛を用いるとざっくりとした感じで大きく馴染み、柔らかいタヌキやコリンスキーの筆ですと、ふんわり馴染みます。
この段階では2層目以降のために筆のタッチを残しておくことにしています。筆のタッチを残すことにより、二層目以降の絵具の食いつきが良くなるのです。
今回は印象派っぽい感じも表現したかったので、あまりなじませすぎないように、原色部分を残しています。絵の具の彩度は、混色によって失われていくので、画面上で馴染ませすぎると、印象派のような鮮やかな色味が失われていくからです。
原色をそのまま乗せることは、タブーのように思われる場合もありますが、個人的には好きですし、印象派絵画の美しさは原色にあるともいえます。
今回は、ここまでになります。次回は、完成へと進む後編となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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