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油絵の描き方を手順を追って解説 人物画・グリザイユ技法 

油絵の描き方を知りたい

どんな手順で描かれているのだろう?

こういった疑問に答えます。

今回はこちらの人物画をもとに解説。

モチーフは、15年前(当時から)の使い捨てカメラの写真(かなり画質が荒い)。

この人物画は「グリザイユ技法」を用いています。

今回の記事で紹介する工程
  1. 木炭による下描き
  2. モノトーンによるグリザイユ1層目
  3. モノトーンによるグリザイユ2層目
  4. 彩色工程を何度も重ねる

使用したキャンバスは半吸収性のキャンバス。グリザイユ工程から徐々に油が吸収されて、非常に描き進めやすくなっている。下地にはジェッソなどの半吸収性下地を施す。もっと凝ったやり方はあるが今回は割愛。

使用した油絵の具は主にクサカベ。落ち着いた色味でおすすめ。(その他、マツダスーパーやホルベインも使用)

以下、ポイント

  • 子供の肌と大人の肌は質感が違う。子供の赤みがかった肌を表現するよう努める。
  • 背景を先に描くなど人物描写と同時に進める。色調を比較して進める。
  • キワ(人物の輪郭や、回り込んだ部分)は、表現に差が出る部分。キワをハッキリ描くと人物が浮かびあがり、キワと背景をぼかし込むようにすると柔らかい表現になる。
  • 土性の絵の具とホワイトを下層に使い、上層部には高級な絵の具をオイルと混ぜ合わせて薄く重ねる。
  • 使用する油は、スタンドオイル、リンシードオイルを原液として、適宜テレピンで薄めて使用。原液に少量のルツーセ(はじき防止)やダンマルワニス(樹脂系)を足すのも良い。
  • 下層はテレピン(揮発性油)を多め、上層に向かってテレピンの量を減らしていく。
  • 明るい所は不透明、暗いところは少し透明に絵の具をのせて表現していく。
  • 背景を描く際、人物を隔てた片側を集中して描くのではなく、必ず全体を一枚の壁として空間を意識して描く。
目次

油絵人物画の下描き(木炭)

今回の絵はエスキース(下絵)無しで思いつくまま描いています。

下描きには木炭を使用

生き生きした感じを生かす為、ザクザク勢いで描きます。多少のズレは油絵の段階で修正すればOK

描かないと何も進まないので常に手を動かしましょう。最後まで残らない線はかなり多いですが、あまり気にせず進めてください。
かなり荒く木炭で描いています。動きを意識して木炭の段階では粗目で大丈夫。描きすぎないようにしましょう。

下描きの段階で形が決まりすぎると硬い絵になります。

下描きできたら、フィキサチフ固着させます。

※よく換気をするか、屋外で行いましょう。

すぐ無くなるので、ビッグがおすすめ。鉛筆デッサンにも使えます。

人物画 グリザイユ1層目

まず、全体にうっすらと茶色を施します(インプリミトゥーラ又はインプリマトゥーラと言う)。明暗を中間にして明るい色と暗い色を乗せやすくする為です。画面の吸収を調整する目的もあります。

バーントシェンナ、ローシェンナ、バーントアンバー、イエローオーカー等、好きな組み合わせで。
ポピーオイル(またはリンシード)+テレピンを1:1で絵の具を薄めて羊毛刷毛などでさっと塗ります。

画面が乾いたら、モノクロで描いていきます。

パレット上に、最初4段階くらいで作ります。

ブラック系+ローアンバー、シルバーホワイト+チタニウムホワイトを使用。

黒色をそのまま使いたくない方は、ウルトラマリン(又はウルトラマリンディープ)+バーントシェンナで黒色を作成

進むにつれて以下の写真のように段階が増えていきます。

豚毛を用いて筆跡を残すようにして絵の具をのせましょう。引っかかりが良くなって2層目の絵の具が乗せやすくなります。


髪の毛もザックリ描きます。細かく描かずに、ボリューム感を掴むように大胆に描きましょう。

人物の服や指を描いていきます。
今回、指は直接色をのせて描いてます。1層目は観察した色をそのままのせて短時間で描きました。

他の部分も進めて、グリザイユ1層目は完了。全体が完全に乾くまで1週間ほど置いておきましょう。

人物画 グリザイユ2層目 形を整える

完全に乾かしたら、2層目に入ります。この段階では、形を整える事を目標にします。
また、たっぷり絵の具を用いて物質感(マチェール)を表現していきましょう。デッサンするような感覚で進めていきます。

左が1層目、右が2層目です。顔の形もこの段階で整っているのがお分かりいただけるでしょう。

髪の毛も2層目はしっかり描きます。
あまり一本一本にこだわり過ぎると全体の調和が失われるので気をつけましょう。

衣服の下の身体の構造を意識しながら描いてください。衣服のシワも身体の構造を意識して描きます。

グリザイユ2層目が完了したら、また1週間乾かします。

絵を綺麗に見せるコツは、キワ(際)をしっかり描く事。それだけで、おさまりの良い綺麗な絵になります。各工程ごとにキワ(際)をしっかり詰めておきましょう。例えば黒い髪の毛の周りのキワは明るくなりますし、白い服の周りのキワは暗くなります。それだけで、モチーフがはっきり浮き上がって表現され、存在感が増します。

人物画 彩色工程

彩色に入ります。

ここまでで形はしっかり決まっているので安心して彩色に入ってください。と言いますのも、ここからの彩色工程では、色をのせる前に、画面にオイルを刷り込む作業が入ります。オイルはすぐに乾かないので、失敗したら拭き取る事が可能です。

リンシードやスタンドオイルといった乾性油を調合(少量のダンマルワニスも加えてOK)し、それを彩色したい部分に塗り画面を湿らせた状態にしておきます。

ここで注意したいのが、テレピン(揮発性油)は使わないという点。

画面を湿らせたら、直接色をのせていきます。
色は事前にパレットで練り合わせて作っておきましょう。不透明に被せるイメージで色を描いていきます。

パレットに使用する絵の具を出しておき、肌の色をグラデーションにして作成しておきます。

パレットに出しておく色⇒シルバーホワイト、チタニウムホワイト、ジョンブリアン№2(クサカベ)、イエローオーカー、オーレオリン、バーミリオン、カドミウムレッド(カドミウムレッドパープル)、ライトレッド、バーントアンバー、ローアンバー、ウルトラマリン(ウルトラマリンディープ)、テールベルト、(その他、カドミウムイエロー、カーマイン、カドミウムグリーンetc)

とにかく多くの色をパレットに出しておきます。少量ずつでもいいので、使いたい色を全て出しておくことをお勧めします。

最小限の色で肌を表現したい場合は⇒チタニウムホワイト(シルバーホワイト)、ウルトラマリン(又はブラック)、イエローオーカーペール(オーレオリン)、カドミウムレッド(バーミリオン)

説明すると
チタニウムホワイト 最も明るい(light)
ブラック 最も暗い(dark)
イエローオーカーペール ロークロマカラー、低彩度、暗い部分の透明感の表現に使用
カドミウムレッド 最も明るい(bright)赤
この4色で肌を表現できます。

絵を描いていて部屋が暗かったりする場合、スタンドライト等を設置して明るくするのも良いです。

下の写真が彩色1層目の完了時点ですが、まだ色調が生っぽいのが分かると思います。筋肉を描いたようなイメージですね。まだ肌の透明感などは表現されていません。

肌の暗い部分は、下層のモノトーンを生かし、寒色として表現。彩色した部分を指で拭ったりして下層を出します。

顔は納得がいくまで何度か重ねましょう。ある程度パレット上で色を作ってからのせて下さい。
彩色層を重ねる際は、毎回油で画面を湿らせてから描きます。

2層目で少し肌の質感が出てきました(下図)。

さらに3層目を重ねていきます(下図)。

3層目から、マツダスーパーのジョンブリアン№2とクサカベのアイボリーホワイトをパレットのレパートリーに加えます。

何層も重ねる事により、油の効果で透明感が出てきます。重なりあったフィルムに光が透過して美しい表現になっていく感じです。

下の写真はパレットの写真の一部。紙パレットの大を三枚も使用しています。

絵の具は節約せずどんどん使っていったほうが技術が向上します。

作った絵の具はパレットごとサランラップでくるんでおくと何日か保存できます。

この写真の右上にあるチューブ絞り器も私のお気に入りです。絵の具を最後まできれいに使い切る事が出来ます。
ホルベインの商品が一番良いと思います。

服も模様を描き進めます。暗部を青系やグレー系でグレージング(具体的にはスカンブルによる、半被覆により暗部の透明感を表現)を施したりしながら描き進めます。
衣服の下の身体の構造が感じられるように、シワを見極めて描きます。
単一色にならないよう、微妙な変化を感じられる色使いで彩色していきましょう。

古い写真で情報量が少なかったので難儀しました...モデルに使う写真は解像度の高い物にしてください!

スカンブルとは、不透明色をオイルで薄く溶き重層効果を得る技法。服や髪の毛の暗部に使用。

髪の毛も、一度バーンとアンバー+コバルトブルーをグレーズして明部を面相筆などの細い筆で描き起こしていきます。

肌の4層目(下図)

ここでパレットのレパートリーに透明色を加えます。ピンクマダー、カーマインレーキ、トランスペアレントホワイト。仕上げの細かい描写に使います。完成に近づいたら透明色の絵の具を使用するタイミングです。

肌の滑らかな表現を進めていって完成です。肌を描くときに、あまり色味を加え過ぎて不自然にならないようにして下さい。最終段階の肌の表現では、化粧をするように優しく色をのせていきましょう。

上の写真の右側にある木は、手を添えるためのものです。コーナンで長い木を購入して使用してください。立てかけたキャンバスより長いものを購入しましょう。でないと、描いた絵の上に木が当たります。

まとめ

  1. キャンバスは半吸収性を用いる。
  2. 木炭による下描き
  3. フィキサチフで固着
  4. インプリマトゥーラで画面全体を薄く茶色にする。
  5. 明るい部分を描き起こしつつ、モノトーンで描く。
  6. 1層目完了したら1週間乾かす。
  7. 2層目も同様にモノトーンを重ねて、人物の形を決める。1週間乾かす。
  8. 乾性油を画面に刷り込み、湿った状態にしてから彩色する。
  9. 透明感と肌の質感を出す為何層も重ねる。その都度、乾かしてから油で画面を湿らせる。
  10. 手を置く添え木はコーナンで長いものを買って使用。
  11. 絵の具はチューブ絞り器で大切に使う。
  12. パレットで色を作ってからのせる。
  13. パレット上に作った絵の具は、ラップして長持ちさせる事も出来る。

今回はここまでとなります。

引き続き皆様の役に立つ記事を執筆していきますので、ご支援よろしくお願いいたします。

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